Category: 知財全般

知財業界の職業病 – 弁理士の日記念ブログイベント2017

すっかりごぶさたしてしまってすみません。実は今日(7月1日)は弁理士の日だそうで、ブロガー弁理士で記事を書いて盛り上がろうというイベントに、去年に引き続いて参加させていただくことになりました。今年のテーマは「知財業界の職業病」。ふむー何があるでしょう?

知財業界といってもそれなりに裾野が広いので、いろいろな職業病があると思われますが、たしかに「火曜日はなぜか早起きしてしまう」みたいなものはあるかもしれません。火曜日というのは、多くの事務所で特許庁からの通知を受領する日なんですよね。例えば審査官からの拒絶理由通知書や登録査定書などは毎日発せられるわけですが、ほとんどの特許事務所では、これを週に一度だけ受領する運用としています。その間はオンラインにデータが蓄積されていて、一週間分をまとめてダウンロードするわけです。

事務所によって月曜日だったり火曜日だったりするようですが、弊所では火曜日に受領しています。かつて噂レベルで聞いた話では、月曜日に受領すると、応答期限が土日にかかって月曜日に延長される確率が一番高いんだとか。なので月曜日受領の事務所も多いはずです。ではなぜ火曜日なのかというと、よくわからないのですが、月曜日は週末に届いたメールなどの処理が忙しいからその翌日としているとか、かつて書類が郵送されていた時代は火曜日に発送だったとかの事情があるのかもしれません。

まぁそんなこんなで火曜日は特許事務所にとって一週間で特別な日なのですが、私は早起きすることはなく、拒絶理由通知が届くので朝からどんよりした気分になります(笑)

他にはそうですね、いろいろなネーミングやデザインを目にしたときに、法的な問題を検討してしまう習慣があります。

例えば新しいブランドを見たときに、そのブランド(名)が選択された理由を考えてしまったり、他のブランドの商標権を侵害しないか心配になってしまったり、ちゃんと商標登録されているか(されているならどんな指定商品についてか)つい調べてしまったりします。

同じような話で、「PANASONIC」は「SONY」に憧れて「SONI」が入る名称を選んだ、みたいな都市伝説に妙に食いついてしまったりします。

このブログでも繰り返しお話していますが、知的財産法はすべての模倣を排除しようとしているわけでは決してありません。むしろ模倣は人類の経済的・文化的発展の根幹であることを前提としていて、その中で政策的な観点から特に排除すべき模倣に限って許さないとしています。そうすると、事業活動の中で、ある模倣が許されるかどうかの判断が難しいことは、よくあります。おそらく、具体的な出願のものを除けば、弊所へのご相談で最も多いのがこの内容です。

例えば最近は、ブランド名ではなく、商品デザインが模倣されるのが主流です。ネットで売られているわかりやすい偽物(ヴィトンやシャネルの典型的なニセモノ)のほとんどは、日本語ができる中国人や韓国人によるものです。日本人はそういう行為は危険だとわかっているので、ブランドはパクりません。代わりに商品デザインをパクるのです。売れている商品を探し出し、そのデザインの特徴をパクって、商標を付さずに、あるいは独自のブランドで売る。現在メーカーが直面している模倣品問題は、ノーブランドの形態模倣です。

実際にネットでも、リアル店舗でも、どこかで見たことがあるデザインの商品が別のブランドで売られていることは、もはや日常です。そのような商品を目にしたとき、権利関係が気になって仕方ありません。適当にパクって怒られたらやめればいいと考えているのか、きちんと調査した上でギリギリセーフのラインを狙っているのか、ライセンスなどを受けているのか、そもそも何も考えていないのか。法的な問題を検討したり、権利者や製造者の情報をつい調べてしまうのは、職業病といえるかもしれません。

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