弁理士のノマド事情

ノマドという働き方が流行し始めて久しいです。ノマドとは、オフィスを持たずにカフェやコワーキングスペースを転々としながら仕事をするというスタイルですが、弁理士のノマド事情はどうなのでしょうか。

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残念ながら弁理士の業務はノマドには向きません。なぜならば、弁理士には「新規性の保持」という重要な使命があるからです。特許、実用新案、意匠などは、出願するまでに誰にもその内容を知られてはならないという大原則があります。万一何らかの事情でそれが漏れてしまうと、特許等が取れなくなるか、仮に審査をパスできても将来的に特許無効とされてしまうリスクを抱えることになり、クライアント様にとって甚大な不利益となります。そのため、外出先では簡単に仕事ができないのです。

カフェや空港などではネットのセキュリティにも問題がありますし(これはVPNを通すことで多少改善するようですが)、どこで誰が見ているかわからないので、その場でできる仕事を常に意識して選ぶようにしています。

といっても弊所のクライアントはほとんどが外国企業なので、そこまで気にしなくて良いことが多いです。外国企業の出願は、既に海外で出願されていて、優先期間に入っています。優先期間の公知では新規性を喪失しないので、内容を他人に知られても権利が取得できないという最悪の事態に陥ることはありません。それでも外国出願の内容とまったく同内容で日本でも出願されるとは限りませんし、そもそも出願前の情報は企業秘密を含むので取り扱いに注意しなければならないことに変わりはありません。

最近は移動や打ち合わせが多いので合間に仕事を進めたいのですが、上記のような事情があり、Webページやブログを更新するとか、所内の事務連絡とか、公開公報を読むとかしかできません。雑用を片付ける時間と前向き考えていますが。