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アマゾンブランド登録と商標登録の話題 Part2

アマゾンブランド登録が刷新されて、商標登録が要求されるようになったことは以前お話しました

その後多少ルール変更があったので、特にお問い合わせが多い点も含めて、まとめ直します。

新ブランド登録とは何か

ブランド登録プログラム自体は、これまでもアマゾンにありました。ブランド登録をすることで、商品ページの編集権限が強くなったり、模倣品の排除に協力してもらいやすかったりというメリットがありました。それらをさらに強化して、新たな機能まで加えたのが、新ブランド登録プログラムです。米国では、旧バージョンを「アマゾンブランド登録1.0」、新バージョンを「アマゾンブランド登録2.0」と呼ぶことがあるようです。

ブランド登録2.0では、1.0の特徴を引き継ぐか、それらを改良した上で、さらに機能が加わりました。

特に知的財産権の保護という観点からは、ブランド登録2.0を利用することで、模倣品を排除しやすくなりました。具体的には、ブランドオーナー用の管理画面にて、商品ページや出品者を管理することができるようになりました。また、知的財産権侵害の申し立ても、管理画面からできるようになりました(従前の申告ページを利用しなくてもよくなりました)。これによって、これまで商標権・意匠権侵害に限ってオンラインで申し立てができたものが、著作権などにも対象が拡大されました。さらに、申し立てが優先的に処理され、違法出品の削除が迅速になされるようになりました。

他には、ブランド登録2.0では、そのブランドの一覧カタログのようなページが作成できる機能が実装されました。米国ではその一覧ページのデザインをある程度自由に変更でき、いくつかテンプレートも用意されています。※その一覧の各商品ページには誰でも出品できる点に留意してください。出品自体を独占できるわけではありません。

その他、新商品に優先的にレビューが投稿されるような機能(レビュアーにアマゾンから報酬が支払われる)や、特別な広告(ヘッドライン検索広告)が購入できたりという利点もあります。これらの機能は順次日本にも導入されると思われます。

ブランドオーナーの方は、ぜひともブランド登録2.0を利用すべきでしょう。費用はかかりません。

なお、ブランド登録1.0の登録は、自動的に2.0にはアップグレードされません。2.0は新規に登録し直す必要があります。当面は両者が併存するものと思われます。

ルール変更点

当初、「標準文字商標」での商標登録が要求されていましたが、これが「文字商標」に緩和されました。

標準文字のみ
 ↓
標準文字あるいは文字商標
 ↓
文字商標

という変遷をたどり、いまでは「文字商標」であればよいことになっています。といっても、標準文字商標は文字商標に含まれることから、二番目と三番目は実質的に同じ内容だといえます。

国によっては標準文字制度がない(例:中国)こともあり、そのような国ではもともと文字商標での登録で足りていたことから、日本の基準をそこまで広げた(緩和した)ということでしょう。

ここで、アマゾンがいう「文字商標」に、どこまで含まれるのかが問題になります。例えば少しでも文字に装飾がなされていたらダメなのか、あるいは特殊な書体で表された文字の商標はどうなのかという部分は、まだよくわかりません。特に、文字商標だけれどもその一部にのみ装飾が付されている場合などは、より微妙です。

要は商標制度を利用してブランドのオリジナル性を確認するのが目的でしょうから、重複して登録され得る商標ならば、登録されていてもブランド登録の根拠とはならないでしょう。そういう意味では、装飾された文字や、特殊な書体の文字の登録では、ブランド登録が認められない可能性があります。

実際の運用としては、アマゾンがある程度踏み込んで判断するのかもしれませんし、図形が含まれないならばすべてブランド登録して、重複が生じた際に個別に対応するのかもしれません。このあたりはしばらく様子をみる必要があります。

文字商標の登録が要求される理由

ブランド登録1.0では言及がなかった商標登録が、2.0で要求されるようになったのはなぜでしょうか。

まず端的に、ブランドオーナーであることの確認をするために商標登録を利用していると考えられます。
ブランド名を商標登録しているのは正規のブランドオーナーでしょうから、商標登録のデータを利用してブランドオーナーであることを確認しているものと思われます。
逆にいうと、例えば他人がブランドを勝手に商標登録してしまったような場合でも、誰がブランドオーナーであるかは、アマゾンに対してではなく商標登録の有無で(特許庁や裁判所で)争えと言うのだと思います。アマゾンとしては商標登録名義人をブランドオーナーとして認識するという意思表示なのでしょう。

そして、文字商標に限定しているのは、アマゾン内でブランドの重複を避けるためだと思われます。書体やデザインに特徴のない文字列ならば、同じ商標が異なる人に重複して登録されることはありません。重複がしないことの審査を、商標制度を利用して行っていると推測されます。

指定商品をどうするか

ブランド登録を目的としてこれから商標出願する場合、指定商品をどうするかが問題になります。

普通であれば、実際に販売する(or販売予定がある)商品をすべて指定すべきでしょう。しかしブランド登録のみを目的とする場合は、もう少し節約できる可能性があります。というのは、ブランド登録はアマゾンの定めるカテゴリ単位でなされ、これは経済産業省の定める指定商品の範囲とギャップがあることがあるからです。

例えば、アマゾンでは、「服・シューズ・バッグ・腕時計」というカテゴリがあります。これを商標の区分に対応させると、

第14類:腕時計
第18類:バッグ
第25類:服・シューズ

となります。

アマゾンではそのカテゴリに含まれる商品をひとつでも販売&商標登録しておけば、そのカテゴリ全体についてブランド登録できることから、例えばあるセーター(服)のみを販売&商標登録すれば、「服・シューズ・バッグ・腕時計」というカテゴリ全体についてブランド登録をすることができると思われます。

そうすると、例えば「アパレル・バッグ・ウォッチ」という商品群を扱う場合でも、3区分すべてを指定せずとも、どれか1区分のみを指定すればよいことになり、出願費用を節約することができます(例:第25類「被服」のみを指定)。

同様の例は他のカテゴリでもあり、例えば「スポーツ&アウトドア」「ベビー・おもちゃ・ホビー」「パソコン・オフィス用品」「ホーム&キッチン・ペット・DIY」「家電・カメラ・AV機器(※照明器具が含まれるカテゴリです)」なども、複数の区分にまたがります。

なお、このように商標登録よりも広い範囲でブランド登録をしてしまうと、アマゾン内でブランドの重複が生じ得ますが、それをアマゾンがどう処理するかは不明です。これも個別の対応となるのかもしれません。
※ この観点からは、やはり取り扱いのある商品すべてを指定しておくのが安全です。例えば第25類「被服」のみを指定して商標登録をして、「服・シューズ・バッグ・腕時計」というカテゴリでブランド登録を受けたとしても、他人が第14類「腕時計」について同じ商標を登録した場合に、自分のブランド登録の範囲が事後的に狭められる可能性があります。

外国での商標登録もOK

商標登録は必ずしも日本でされている必要はなく、現在は、米国、カナダ、メキシコ、インド、日本、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス、欧州連合のいずれかで登録されていればOKとされています。つまり、例えば米国のみで商標登録されている場合、日本で登録をし直さなくても、米国の商標登録を根拠に、日本のアマゾンでブランド登録できます。

これは、外国ブランドの商品が日本に輸入される場合を想定しているからだと思います。例えばアメリカのブランドが日本に輸入されるときに、アメリカでのみ商標登録されているケースは少なからずあります。その際に日本での商標登録までは要求しないということでしょう。

ここでもブランドの重複が問題になりえます(例えば日本と米国で同じ商標が異なる権利者に登録されている場合がある)が、これも個別対応なのかもしれません。

ブランド登録のリスク

ブランド登録プログラムの利用規約を見ると、以下のような規定があります。
※ この規約はブランド登録プログラムが提供される国すべてで共通です。参考日本語訳はこちら

4. Content and Materials
You grant Amazon and its affiliates a royalty-free, non-exclusive, worldwide, perpetual, irrevocable, and sub-licensable right and license to reproduce, perform, display, distribute, adapt, translate, modify, re-format, create derivative works of, and otherwise use on and in connection with Amazon websites and related products and services, any content or other materials you make available through Brand Registry; provided that Amazon will not alter your trademarks from the form provided by you (except to re-size them to the extent necessary for presentation, so long as the relative proportions remain the same) and will comply with your removal requests as to specific uses of your trademarks (provided you are unable to do so using standard functionality made available to you by Amazon); provided further that nothing in these terms will limit Amazon’s and its affiliates’ ability to use any content or other materials without your consent to the extent allowable without a license from you under applicable law or valid license from a third party. All other content and other materials included in or made available through Brand Registry are the exclusive and confidential property of Amazon (“Confidential Information”), which you may only use to the extent necessary for your participation in Brand Registry. You may not disclose any Confidential Information of Amazon or its affiliates, or disparage Amazon, its affiliates, or any of their respective products or services.

要は、そのブランドの商標などを、アマゾンはアマゾン内で自由に使えますよという内容です。サイト内で商標を表示する場面も出てくるでしょうから、このような規定があること自体は当然なのですが、ブランド登録プログラムを通じて提供した商標などを、アマゾンが

on and in connection with Amazon websites and related products and services
アマゾンサイトや関連商品・サービスについて
reproduce, perform, display, distribute, adapt, translate, modify, re-format, create derivative works of, and otherwise use
複製、実演、表示、頒布、翻案、翻訳、改変、再フォーマット、派生物の作成、その他の使用

できる権原を与える、とかなり広めな用途が想定されていて、権利者が予期しない使用方法まで許諾してしまう可能性があります。

もっとも、後段にあるとおり、使用方法にはそれなりの制限が付されているので、現実に問題が生じる可能性は高くないかもしれませんが、担当者にとっては、社内のコンプライアンスをクリアできるかが重要になりそうです。

おまけ1:小売等役務(第35類)を指定できる?

これはくだらない話なのであまり触れたくありませんが、相変わらず問い合わせが多いので少し検討します。

先程の例でいうと、「服・シューズ・バッグ・腕時計」を、「被服,履物類(第25類)」「かばん類(第18類)」「腕時計(第14類)」と3区分を指定すると費用がかさむので、それぞれを対象とする小売等役務(第35類)を指定して、1区分の費用で済ませられないかと考える人がいます。その場合にブランド登録できるのかが問題になりますが、結論としては、できるようです(登録できた例があります)。

たしかに、日本では小売等役務とその小売等の対象商品の重複をクロスサーチするので、小売等役務について商標登録されていれば、他人に個別の商品について商標登録されることはありません。従って、小売等役務(第35類) を指定した商標登録に基いてブランド登録をしても、問題はないのかもしれません。ただし、これがクロスサーチをしない国ではどうなのかは、いまはまだわかりません。

おまけ2:相乗り排除との関係

これも中国輸入向けのくだらない話ですが、相乗り排除のために商標登録をするケースがあります。その上でブランド登録もしたいという相談があるのですが、そもそも目的がまったく異なるので、商標登録の内容も当然異なります。

相乗り排除をするには、実際に商品に付す商標を登録するのが最も有効です。その商品の販売に対して商標権侵害を主張するわけですから、当然です。商品には通常ロゴや飾り文字を入れるでしょうから、それを図形として登録すべきです。

一方で、上述のとおり、ブランド登録には文字商標の登録が要求されます。「文字商標」の定義が曖昧な以上、可能なかぎり標準文字商標を登録すべきといえます。

結局、それぞれの目的に合わせて登録する商標の内容を選択する必要があります。

と書くと、要は二件出願させて手数料稼ぎたいんだろうなどと言われるので中国輸入は面倒くさいのですが(笑)、もし予算の関係でどちらか1件しか出せないならば、「相乗り排除なんかやめなさい」と言いたいです。アマゾンにとっては紛れもなく迷惑行為ですし、まともな人がやることではありません。

もしそれでも両方やりつつ商標出願は1件で済ませたいというのであれば、標準文字で出すしかないでしょう。ロゴや飾り文字で出してしまうと、明らかにブランド登録の要件を満たしません。一方で相乗り排除(違法出品の削除)については、アマゾンは申告があれば右から左に全部削除してくれるので、標準文字でも別に構いません。ただしそうした排除は法的に根拠がないケースも出てくるでしょうから、商標の類否判断ができない人が費用だけ見て適当に標準文字を登録して他人を排除すると、訴訟等になった際に不利になるリスクがあることは知っておくべきでしょう。

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アマゾンブランド登録に標準文字商標の登録が要求される件について

アマゾンのブランド登録をご存知でしょうか。これは、アマゾン内で、アマゾンが独自にブランドを登録・管理する制度です。

ブランド登録の意義については後述します。ブランド登録をするには、上記ページから申請をします。申請があると、アマゾンはそれを審査して、基準に達すると判断されれば、無事にブランド登録となります。(なお、既存の著名ブランドは、申請をせずともアマゾン自身が登録していると思われます)。

さて、最近ブランド登録の審査基準(登録要件)が変更され、「標準文字の商標登録が完了していること」が必要となりました(おそらく平成29年5月1日以降)。

特に中国から商品を輸入してアマゾンで販売する方々(以下、中国輸入業者)から、この件についての問い合わせが多く、正直なところ通常業務に影響が出ており困っているので、最初にそれについて書きます。

アマゾンブランド登録をすると、出品に際してJANコードが不要であったり、商品カタログの編集権限を独占できたりというメリットがあるようで、中国輸入業者にとってもブランド登録は重要なようです(この点については詳しくないので業界の人に相談してください)。

で、問い合わせが多いのが、過去に商標登録をしたが、標準文字商標の登録が必要だとして、ブランド登録できなかった、どうすればいいか?、あるいは既にブランド登録をしているが、ブランド登録の要件の変更にどう対応すればいいか?というものが大半です。前者は、アマゾンに申請をしたが拒否されたということなのでしょう。中にはその「過去の登録」を弊所で行っていないにもかかわらず、こういう問い合わせをしてくる人がいて、便利屋か何かと勘違いしているんじゃないかと思うんですが、私は弁理士です。非常識な人に無料で対応する趣味はありませんので念のためご留意ください(こんなことを書かないといけないくらい非常識な人が多いんです、ほんと)。

結論から言いますと、過去の出願・登録がない場合、あるいは出願・登録があっても商標が標準文字でない場合は、出願し直してください(新たに標準文字の出願をしてください)。それしか方法はありません。特に過去の出願(審査継続中)や登録(登録済み)がある方は、それを標準文字に変更するとか、その内容を追加するとかできないかとお尋ねになるんですが、できません。商標の内容は、一度出願したらいじれないと思ってください。他の選択肢を検討するだけ時間の無駄ですし、弊所にお問い合せいただいても「出願し直してください」としか答えようがないので、お互い無駄なやり取りは省略しましょう。

過去の商標登録が標準文字かどうかを判断するのは簡単で、公報(公開公報あるいは登録公報(商標公報))に「標準文字」の記載があれば標準文字商標ですし、なければ標準文字商標ではありません。

もちろん、J-PlatPatでも確認できます(「標準文字」の記載を探してみてください。)

念のために、標準文字制度の説明をしておきますと、これは、商標が文字商標(文字のみからなる商標)であって、明朝体やゴシック体などの標準的な書体を権利範囲(専用権の範囲)とするときは、書体や文字デザインを特定せずに、「標準文字」として登録できる制度です(詳細はこちら)。

以下の図は必ずしも正確ではありませんが、文脈上標準文字制度を理解していただくのに十分だと思います。

で、なぜアマゾンがブランド登録に標準文字商標の登録を要求するようになったかですが、おそらく最も主な理由は、ブランド名の重複を避けるためだと思われます。これまでは、ブランド登録には商標登録が要求されていなかったので、ある意味早い者勝ちで登録されていました。そうすると、本来のブランドオーナーでない者が先にそのブランドをアマゾンで登録してしまったり、偶然ブランド名が重複してしまうというトラブルがあったのだと思います。

そこで、商標登録により真のブランドオーナーであることを確認しようという話になったのではないでしょうか。アマゾンが資料提供などを求めて積極的に判断するのではなく、その判断は商標制度を利用して行おうということだと思われます。なんとも合理主義のアマゾンらしいやり方です。

さらに、なぜ標準文字なのか(ロゴや飾り文字ではいけないのか)というと、これもおそらく、ブランドの重複を避けるためです。例えば、あるブランド名について、飾り文字と標準文字(あるいは「図形+文字」の商標と標準文字)が、それぞれ他人に登録されることは、ありえます。そのような場合、やはりアマゾン内でブランドの重複が問題になります。そこでアマゾンでは、その重複の有無の確認も、商標制度を利用して行うことにしたものと思われます。重複する標準文字商標は登録されないはずですから、「標準文字商標が登録されているならアマゾンブランド登録もできる」とすれば、アマゾンは実質的な判断をせずに、ブランドの重複登録を避けることができます。

上記はあくまでも推測ですが、おそらく正しいでしょう。「この件についてアマゾン・ジャパンに問い合わせたが的を射た回答を得られなかった」と言う方がいますが、当たり前です。なぜならば、このルールは、他のそれらと同様に、米アマゾンから輸入されているからです。

法制度の差異により多少日本のものと規定ぶりが異なりますが、ざっくりとは同じことが要求されています。標準文字の商標登録が必須で、あるならば実際に使用しているロゴ等も出せと言っています。

そしてこれは、日本にだけでなく、世界中のアマゾンに輸出されているルールです。標準文字制度がない国もあり(例えば中国)、それぞれ多少異なる表現となっていますが、だいたい同じような内容が要求されています。なので、この件でアマゾン・ジャパンにいくら文句を言っても、あしらわれるだけでしょう。おとなしく標準文字の出願を急ぐのが吉です。

なお、過去にロゴやロゴと文字のセットで商標登録して、現在ブランド登録しているが、規約変更を期に標準文字商標を追加で登録するべきか、という問い合わせも多いのですが、上述のように、した方がいいです。一般論としては、先の登録があれば、同じ文字列で他人が標準文字商標を登録できる可能性は低いので、あまりリスクはないかもしれませんが、絶対にないとは言い切れません。また、他人がその文字部分にのみ類似する商標を登録できる場合もあるでしょうし、それを根拠に貴社が文字部分のみを標準文字で登録できないケースも出てくるかもしれません。こういうリスクを排除するには、自社で標準文字商標を登録しておく必要があります。アマゾンはブランド登録自体をやり直せと言っているので、今後標準文字商標の登録が必須になる可能性が高いです。登録までに半年程度かかることを考えると、やはり早めに出願をしておいたほうが、今後の活動に有利となるでしょう。(そもそもアマゾンを離れて、そのブランドを育てていこうとするのであれば、ロゴに加えて標準文字商標も登録しておくのは、一般的なブランド戦略においても重要です。)

さて、ここからは一般の企業様(主にメーカー)向けの話です。

アマゾンブランド登録の意義は、以下にあります。

  1. 商品カタログ(商品ページ)の編集権限を持てる。
  2. JANコードがなくても出品できる
  3. 同一ブランドの商品の商品ページをリスト表示できる
  4. 商品検索機能が強化される
  5. ブランド保護が強化される

順に見ていくと、1は、要は単に貴社商品を仕入れて販売する業者に、商品ページを編集されることを防ぎ、正規の販社にその管理を任せることができるというメリットがあります。2はメーカーの方には特に関係ないでしょう。3は、商品ページ上でブランド名をクリックすると、そのブランド名で出品されている商品の一覧を表示させることができます。もしここに、貴社商品以外の商品が出てくるようならば、模倣品の可能性があります。4については、いまのところ内容を把握できていません。

5は、アマゾンにおける模倣品排除において重要です。アマゾンに知的財産権(特に商標権)侵害の申し立てをする際に、ブランド登録されている商標ならば、排除がよりスムーズになります。具体的には、ブランド登録されている商標についての申し立ては、原則として真正なものであるとして、アマゾンはほぼ右から左に削除してくれます(ちなみに申し立ては商標権者あるいはその代理人しかできません)。ヤフーや楽天なども、著名なブランドについては、そうでないものと比べてよりスムーズな排除方法を提供していますが、アマゾンのブランド登録はそれらに対応する制度だと考えてよいでしょう。
また、ブランド登録をすると、模倣品発見のツールがアマゾンから提供されるようです。これについては、日本でも提供されているかを含めて詳細が不明なので、情報収集をして、改めてお知らせします。

結論としては、アマゾンにて貴社ブランドが登録されていないならば、早めに登録をしたほうがよいでしょう。標準文字商標の登録がまだならば、まずはこれを急いでください。米国では、ブランド登録を活用して、大規模な模倣品排除に成功している事例があるようです。ブランド登録自体には費用がかかりませんので、積極的に活用されることをお勧めします。
※ ブランドが登録されているかどうかは、アマゾン内でそのブランド名を検索してみれば(商品ページを見てみれば)わかります。

最後に、標準文字で出願する際の注意点について、これはブランド登録する名称と完全に一致している必要があります。大文字小文字の区別も必要ですし、複数の語からなる場合はちゃんとスペースをあけておくことも必要です。「・」は「ー」も正確に記載しましょう。
※ なお、標準文字ではハイフンは登録できないので、マイナスなどで代用することになりますが、さすがにそこまではみないでしょう。また、アルファベットはすべて全角での登録になります。

例)
ブランド登録したい名称
KOSHIBA-IP

商標登録(標準文字)
○ KOSHIBAーIP
× KoshibaーIP
× KOSHIBA IP
× KOSHIBAIP

弊所ではアマゾンブランド登録の代理/代行は行っていませんが、ご不明点があれば、お気軽にお問い合せください。(ただし中国輸入業者の「標準文字で出願した方がいいですか/出願し直す必要がありますか」という問い合わせはもう勘弁してください。答えは「出願しないとブランド登録できません」です。)

最後に余談ですが、アマゾンが標準文字商標の登録を要求する理由は説明しましたが、根底には、よくわからない自称ブランドが乱立している問題があるのだと思います。自称「OEM」、あるいは開き直って「簡易OEM」などと意味不明の呼び方をすることも多いようですが、中国でパクリ商品を見つけて、あるいはそれを少しだけ改造して、自分のロゴを付して「オリジナル商品」「オリジナルブランド」と名乗る図々しい商品が、米アマゾンで(もちろん日本でも)氾濫しています。アマゾンは、そうした商品はノーブランド品として売ってくれと言っているんですが、カタログを独占したいというだけの理由で適当に改造したり商標を付したりして、オリジナル商品のフリをする輩には困っているようです(一方で営業部ではそういう商売を煽っているようで、これがまた混乱を呼ぶ原因になっているようなのですが・・・)。

また別の話ですが、ブランド登録のための商標登録をするときに、指定商品は小売等役務(第35類)でよいのか?という問い合わせもチラホラあります。これは、以前当ブログでもご紹介したとおり、個別の商品を複数指定して区分数が増えると費用がかさんでしまうので、すべてを「○○の小売・・・」として、第35類にまとめて列挙したいという需要があるからです。
この点については、規約変更されたばかりでまだ事例がなく、よくわかりません。商品に商標を付して商品のブランドとして登録するわけですから、常識で考えれば個別の商品を指定すべきで、小売等役務について商標登録をするなど意味がわからないのですが、アマゾンはそこまで判断しないかもしれません。
弊所では、小売等役務を指定して出願しろとのご指示があれば従いますが、ブランド登録のためにそのような出願をすることは、お勧めしません。半年後に商標登録が完了しても、ブランド登録できないリスクがあることをご承知おきいただいた上でご指示ください。また、「35類でもいいんですか?」という問い合わせももうカンベンしていただきたいです。上記のとおりわからないので、アマゾンに直接確認してください。繰り返しますが常識的には個別の商品について登録すべきです。

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『パテント』に記事掲載されました

日本弁理士会が発行する月刊誌、『パテント』の今月号(9月号)の特集が「模倣品対策」でして、私も義烏絡みの記事をひとつ寄稿しました(偉そうに言っていますが、パテントを作る委員会に知り合いの弁理士がいて、中国絡みで書くよう頼まれただけです)。

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そもそも弁理士以外の方は『パテント』をご存知でないと思いますが、ざっくりいうと弁理士会の会報誌のような位置付けの雑誌です(こんな表現をすると怒られるかも)。弁理士には毎月全員に強制的に送られてきますが、それ以外は、官公庁や裁判所、警察、税関などの知財関連の機関の方を除いては、あまり目にする機会がないかもしれません。基本的には弁理士が論文のようなものを投稿して、審査に通ると掲載されるようになっています。

私の記事は論文ではなく(まぁ形式的には論文なのかもしれませんが)、単に義烏と福田市場、さらに、義烏を介して行われる中国輸入というモデルについて、模倣品の観点から紹介するというものです。

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記事内容は、卸売に特化した義烏という街をざっくりと紹介し、そのトレードマークでもある福田市場について説明をした上で、福田市場やタオバオ、アリババなどから小口で模倣品を輸入し日本のネットで販売する「中国輸入」にも軽く触れ、それに対する効率的な対応策を提案するものです。

紙面の制限があり表面的な話しかできませんでしたが、おそらく法律専門家の観点から義烏を紹介する記事は史上初ではないかと思われ、また特に、「中国輸入」というわけのわからない偽物販売ビジネスについて広く世に紹介することができたことは有意義であったと考えています。

これまで規模が小さすぎて対応コストがペイしないため、中国輸入という偽物販売ビジネスは無視されてきたという現実がありましたが、比較的コストをかけずに効果的な対応ができるのであれば、権利者さんたちも動けるかもしれません。

そしてそうした小規模の偽物を大量に発信しているのが義烏だという事実を知っていただければ、より効果的な対応ができるようになる可能性があります。

本当は福田市場にある偽物商品の写真を大量に掲載して、偽物を売っているブースに突撃取材して・・・などをやりたかったのですが、『パテント』に載せる以上そういうわけにはいかず、一般論を紹介するに留めました。

また中国輸入についても、基本的には日本のアマゾンで売られるとか、最近はメルカリがやばいとか書きたかったのですが、具体的な名称を出すわけにはいかず、こちらも一般論として説明するだけになっています。

これらについてより具体的な内容をお知りになりたい方は、無料でセミナーをやっていますので、お気軽にお申し付けください。

なお、この記事は2ヶ月後にPDFで公開されますので、『パテント』を入手できない方は、そちらにお目通しいただければ幸いです。

※ ところでタイトルの 「ニセモノのふるさと」義烏と「中国輸入」 という表現は、カギ括弧の位置がイマイチよくわからないものになっていますが、まぁいろいろあったのです。本当はカギ括弧のないタイトルで提出したのですが、いろいろ問題がありそうということで、いろいろ検討した上でこの形に落ち着きました。お察しください。

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IIPPF(JETRO)様における講演のご報告

3週間ほど前になりますが、IIPPF(国際知的財産保護フォーラム)様にて、「アマゾンにおける模倣品対策」について講演する機会を頂戴しましたので、その報告です。

ご存じの方も多いと思いますが、IIPPFはJETROを母体とする、模倣品対策についての企業様の集合体(フォーラム)です。模倣品対策の組織としてはおそらく日本最大だと思います。そこで、先日JEITA様にて講演した「アマゾンの販売システムと模倣品対策」と同内容の講演のご依頼を受け、お話してまいりました。

特に今回は、Amazon.co.jpの運営主体がアマゾンジャパン合同会社と変更となったことにより、アマゾンにおける模倣品対策ががらりと変わる可能性があることをお話しできたことはよかったと思っています。

これまでAmazon.co.jpは、運営者はあくまでも米国企業で、日本企業(アマゾンジャパン株式会社)は対応窓口にすぎないという立場を貫いてきました。なので、Amazon.co.jpでの模倣品への対応をアマゾンジャパン株式会社に相談すると、「ただの窓口なので対応できない」と一蹴されることが少なからずありました。それではと米国企業に直談判すると、「日本のことは日本でやれ」とこちらも門前払いされ、結局どこで誰と話し合えばいいのかわからない状態が続いていました。力のある日本企業も、このようにのらりくらりと逃げるアマゾンに対して有効な対応ができず、困っていたという事情があります(他にも、米国企業を相手に訴訟をするのは負担が大きいなどの事情もありました)。

しかし、運営主体が日本企業(アマゾンジャパン合同会社)になったのならば、これからはここと交渉すればいいことになるのでしょう。これまで模倣品問題で楽天やヤフーが訴えられることはあっても、アマゾンだけは訴えられずにきました。これは、誰を訴えたらいいのかよくわからないということも大きな理由だったと思われます。今後はアマゾンジャパン合同会社が訴えられるケースも増えてくるでしょう。なにより日本企業はアマゾンジャパン合同会社と直接の交渉を持てる可能性が高く、これは非常に大きな前進です。

他にも、数年前に外国の銀行口座で売上げを受け取れるようになったことに加え、最近日本のセラーセントラルが中国語に対応したことなどから、中国人セラーが続々と参入しており、今後は中国人相手に模倣品対策をしなければいけないことなどをお話しました。

また、チュッパチャップス事件に加え、チャフローズ洗浄剤事件も紹介し、ISPの侵害責任をどこまで問えるのかについても簡単に検討しました。

アマゾンでは実は多くのブランドは並行輸入品の販売が禁止されています。これは法律的にではなく、アマゾンのルールとして販売を禁止しているものです。模倣品が多いためだというのがアマゾンの説明ですが、日本企業が模倣品対策をする上で、このような運用を参考とできる部分は大いにあるでしょう。

ざっくりとはこのような感じです。弊所では出張セミナーを無料で行っております。ご興味のある企業様はお気軽にお問い合わせください。

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中傷レビュー投稿者の情報開示が命じられた事例から考えるアマゾンにおける模倣品対策

またも少し出遅れましたが、アマゾンに投稿された中傷レビューの発信者の情報開示を求めた訴訟において、裁判所が面白い判決を出したようです。

記事によると、アマゾンで中傷レビューを投稿されたNPO法人が、投稿者の情報を開示するよう求めていた件で、裁判所は、アマゾンジャパン株式会社に、投稿者のIPアドレスに加え、氏名、住所、メールアドレスの開示を命じる判決を下したそうです。

この話題のポイントは、2つあります。

ひとつは、IPアドレス以外の情報も、アマゾンに開示義務があると判断した点です。これまでの手続きの流れに従えば、まずアマゾンに対してIPアドレスの開示を請求して、その情報を基に、ISP(プロバイダ)に対して個人情報を開示する請求するという、二段階の手続きをすることになっていました。ところが本判決では、アマゾンに対して、IPアドレスのみならず、投稿者の氏名や住所なども開示するように命じました。これにより、アマゾンに対する一度の手続きのみで投稿者の個人情報を入手できることになり、開示請求をする方は手間・時間・費用を軽減させられることになりました。

もうひとつは、今回開示義務が課されたのがアマゾンジャパン株式会社であるという点です。ご存知の通り、Amazon.co.jpの運営主体は、Amazon.com Int’l Sales, Inc. 及び Amazon Services International, Inc. です(米国2社による共同運営)。日本法人であるアマゾンジャパン株式会社は対応窓口に過ぎないため、Amazon.co.jpで生じたトラブルについての訴訟は米国企業を相手に起こさなければならないとこれまでは言われていました。ところが本判決では、アマゾンジャパン株式会社に対して情報開示を命じました。これにより、米国企業と裁判をしなくてもいいこととなり、開示請求がかなりやりやすくなったといえます。

それぞれのポイントについて簡単にみていきます。

前者については、これまでもできるのではないかと言われていました。司法や行政などからの強制力のある命令があれば、アマゾンは情報を出さざるを得ないだろうというのが専門家の見解でした。実際にIPアドレスはこれまでもアマゾンなどのサイト運営者から開示されていました。

今回は、氏名や住所なども含めてアマゾンに開示義務があると判断された点に意義があるのですが、実はこの氏名や住所は、アマゾンに登録されている情報だという点に注意が必要です。従来のISPが開示する方法では、IPアドレスからユーザごとの接続IDや接続先サーバから住所などを特定します。一方で、アマゾンはそうした情報を割り出すことはできないので、アマゾンにユーザ登録されてある情報を提供することしかできないはずです。アマゾンでは、クレジットカードと電話番号さえあればアカウントが作れてしまいます。これらの情報は一時的なものを入手するのが簡単なので、虚偽の住所や氏名で登録がなされている場合、正確な情報が割り出せないという問題が残る点には注意が必要です(このような事情を知って最初から虚偽情報で登録する人は実際にいます)。そのようなケースでは、結局従来通りの方法でISPに情報開示請求をするしかありません。

あとは、今後は同様の訴訟を提起すればこうした情報を開示させられるのでしょうが、弁護士会照会ではどこまでの情報が出てくるのか(アマゾンには出す義務があるのか)も今後の検討課題でしょう。

さて、今回特に重要なのは、後者です。今回原告は、本件訴訟に先立ち、アマゾン米国法人を訴えていたそうです。その後日本法人も訴えたところ、「Amazon.co.jpの運営主体はアマゾンジャパン株式会社である」と認めたため、米国法人に対する訴えは取下げて、アマゾンジャパンに対する請求一本に絞ったという経緯があるようです。

これまで、アマゾンと書面等でやり取りをすると、サイトの運営主体は米国法人であり、日本法人は対応窓口にすぎないという注意書きが必ず記載されていました。一方で、アマゾンの倉庫(FBA)はアマゾンジャパン・ロジスティクスが運営しているという事情があり、サービス全体としては誰が実質的な運営主体がよくわからない状態となっていました。こういった事情のため、Amazon.co.jpにおける問題について訴訟を起こすならば、米国法人を相手に訴えるしかないというのが一般的な考えでした。それが、アマゾン自ら実質的な運営主体はアマゾンジャパン株式会社あると認めたことにより、アマゾンジャパンを訴えればいいとされた点で、本件には大きな意義があるといえます。

本判決は、アマゾンにおける知的財産権侵害への対応にも影響すると思われます。例えば、Amazon.co.jpで商標権や意匠権などの知的財産権侵害をする商品が販売されているのを発見したら、出品取り下げなどをアマゾンジャパン株式会社に申告することになります。ところが、解釈の差などの理由で、アマゾンがスムーズに手続きをしてくれないことがあります。そうしたときに、これまではアマゾン米国法人を相手に訴訟を起こさなければいけないと考えられていたので、かなりハードルが高く、ネット販売では侵害の規模が小さいことが多いことを考え合わせると、手間やコストの観点から、訴訟提起できないという問題がありました。もしアマゾンジャパン株式会社を相手に訴えればいいということであれば、訴訟のハードルが格段に下がる(例えば書類の翻訳料がなくなるだけでかなりのコスト削減になります)ので、今後はAmazon.co.jpにおける知的財産権侵害の問題は裁判で争う例が増えるかもしれません

また、FBA倉庫(フルフィルメントセンター)に偽物が納品されている可能性が高いことがわかっているときに、出荷差し止めや、その前段階として工場への立入検査を希望することは多くあります。これについても、これまでは米国法人を訴えるのは大変なので諦める事例が多かったのですが、今後はアマゾンジャパン・ロジスティクスを訴えればいいのだろうということが明らかになったように思います。

そういう意味で、本判決は中傷レビューに関するものですが、模倣品対策の観点からも、今後の実務に与える影響は大きいと思われます。

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アマゾンにおける模倣品販売についての講演会のご報告

年末で案件が立て込んでおり報告が遅れてしまいましたが、先日、一般社団法人電子情報技術産業協会様(JEITA様)にて、アマゾンにおける模倣品販売の現状と対策について講演をして参りました。

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日本のECサイト/モールではおびただしい数の模倣品が販売されており、特に昨今はアマゾン(Amazon.co.jp)における模倣品販売が圧倒的に大きな問題となっています。

かつては、個人でも簡単に出品できることから、ヤフオクが模倣品販売の最大拠点でした。特許庁によるネット上の模倣品対策も、平成17年に「模倣品の個人輸入及びインターネット取引に関する事例集」が公開されたあたりから本格的なものが始まったように思いますが、これは主にヤフオクが想定されていました。

ところが最近は、ヤフオクよりもアマゾンにおける模倣品販売の方がずっと大きな問題になっています。理由はいくつかあるのですが、

  1. アマゾンの出品者(母数)が多い
  2. アマゾンでは模倣品の出品が極めて容易である
  3. ヤフーの模倣品対策が比較的進んでいる

ことなどが挙げられると思います。

これは、逆にいうと、アマゾンでは模倣品対策が非常にやりにくいことを意味しています。なぜアマゾンでは模倣品対策がやりづらいかというと、

  1. アマゾンはもともと本屋であり、そのシステムを他の商品に広げた
  2. FBA(アマゾンの倉庫業)が模倣品の格好の隠し場所になっている
  3. アマゾンは米国企業である

ことなどが原因となっています。

すなわち、アマゾンのシステムはもともとネット上で本を効率的に販売するよう設計されているため、それを本以外の商品に適用すると、かなり無理があるのです。実際、あらゆるECサイト/モールの中で、アマゾンのみが特殊な出品システムを採用しています(商品カタログ方式)。そして、アマゾンの倉庫に偽物を放り込んでおけば、あとは本物とごちゃ混ぜにしてアマゾンが勝手に模倣品を販売・発送してくれるのです。

これによりアマゾンでは本物と見せかけて(紛れさせて)模倣品を販売することが極めて簡単にできてしまうのですが、さらに問題なのは、そうした模倣品に対応しようとしても、アマゾンは米国企業なのでなかなか柔軟な対応をしてくれないことにあります。模倣品へ対応しようとするとき、アマゾンジャパン(日本の会社)の法務部が窓口となってくれるのですが、彼らは米国アマゾンが定めたルールの枠内で形式的な対応をしてくれるに過ぎません(そこまでの権限しか与えられていないのでしょう)。かといって米国側に直談判しようとすると、「日本のことは日本で解決しろ」と突っぱねられてしまいます。結局、米国アマゾンとアマゾンジャパンの狭間で、どのあたりに落とし所を見つけて、アマゾンジャパンに有効的に動いてもらうかということを考えながら対応していく必要があるのです。

弊所ではアマゾンでの模倣品対応事例が複数ありますので、そうした経験に基づいたお話をさせていただきました。

ところで、これまで弊所では、クライアント様からご依頼があった場合のみ、個別にセミナーや説明会を開催してきました。そしてそのようなセミナーにより、クライアント様の事業の加速に大きく貢献できる例が多いことを肌で感じました。

そこで来年からは、こうしたセミナーを一般の企業様にも開放し、広く開催して参りたいと考えています。セミナーは原則としてオンデマンドで行います。すなわち、弊所が開催して受講生を募るのではなく、弊所弁理士(ほとんどの場合私、越場)が貴社にお伺いして、貴社専用に講演するスタイルを採用させていただきます。これにより、貴社のご事業に即した「濃い」内容を直接お話しすることができるようになります。

また、一定の条件のもと、既にスライドが用意されているセミナーについては、無料にてご受講いただけます。詳細はこちらからご確認いただけます。セミナーのみのお申込みももちろん大歓迎ですので、お気軽にお申込み・お問合せください。